手の視覚的認知と視覚的注意との関連を認知心理学的実験により検討した。主に2つの実験手法を用いた。第一に,視覚的注意の古典的な実験手法である先行手がかり法を用いて,手がかり刺激として提示された手がどの程度注意を引きつけるか検討したが,予想に反し,他の物体(花やイスなど)と比べて特に注意を引くという結果は得られなかった。第二に,人物像を含む自然な写真を観察しているときに眼球運動を測定する実験により,顔や手がどのように注視されるか調べた。その結果,まず顔が注視され,その次に手が注視されることがわかった。また,何かの物体と相互作用している手は,そうでない手よりも注意を引きやすいことが新しく発見された。
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