研究課題/領域番号 |
26780414
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
大塚 幸生 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (90599987)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視覚統計学習 / 記憶促進 / 記憶抑制 / 意識 / 無意識 / 物体認知 / 実験心理学 / 無意味図形 |
研究実績の概要 |
本年度では,統計的規則性の学習が規則性を有する対象の記憶を高めるか,さらに規則性を妨害する対象の記憶を抑制するか否かについて検討した。 実験は学習フェイズ,再認記憶課題,Familiarity判断課題の3段階で構成された。学習フェイズでは,3つのオブジェクト刺激が同じ順序で呈示されるトリプレット刺激列,ランダムな順序で呈示されるランダム刺激列をミックスした刺激列を作成し,参加者はこの刺激列を観察した。学習フェイズの後半では,トリプレット刺激列の間に規則性を壊す妨害刺激が挿入された。再認記憶フェイズでは,学習フェイズで呈示されたトリプレット刺激列とランダム刺激列のオブジェクト,学習フェイズでは呈示されなかった新奇なオブジェクトが1つずつランダムな順序で呈示された。参加者は,直前の学習フェイズで実際に見たオブジェクトか見ていない新しいオブジェクトかを判断した。このような再認記憶課題は,トリプレット刺激列に挿入された妨害刺激に対しても実施された。最後のFamiliarity判断課題では,学習時と同一の順序で呈示されるトリプレット刺激列,学習時には順序としては呈示されなかったフォイル刺激列が対呈示された。参加者は,どちらの刺激列の方が見覚えがあるかを判断した。 実験の結果,ランダム刺激列のオブジェクトに比べて,トリプレット刺激列のオブジェクトに対する記憶成績が高いことが示された。一方で,規則性を妨害しない刺激と比較して,規則性を壊す妨害刺激に対する記憶成績が低下することが示された。これらの結果は,規則性の学習によって高められた刺激列の予測可能性が個々の構成員に対する記憶を促進し,規則性を壊す妨害刺激に対する記憶を抑制するメカニズムが存在することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおり2年目までに視覚統計学習と記憶促進・記憶抑制に関する行動実験を完了したため,研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2年目までに得られた行動実験の結果を基に,視覚統計学習の記憶促進・記憶抑制の神経基盤を検討していく。
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