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2014 年度 実施状況報告書

就学前児における言語質問を介したコミュニケーション能力の発達とそのプロセス

研究課題

研究課題/領域番号 26780417
研究機関神戸大学

研究代表者

大神田 麻子  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 研究員 (90725996)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードコミュニケーション発達 / 反応バイアス / 肯定バイアス / 言語質問 / ハンガリー
研究実績の概要

本研究は就学前児のコミュニケーション能力を明らかにするための一環として、就学前児がさまざまな「はい」「いいえ」で答える質問(以下、YN質問)に反応バイアス(回答の偏り)を示すかどうか検討している。本年度では、社会的圧力を増加した際の3~5歳児の反応バイアスの検討を行った。具体的には、たとえば赤でも緑でもないりんごといった2つの特徴を持つ物を用意し、この赤緑りんごについて「わたしはこれは赤と思うけど、これは赤い?」いう誘導質問を聞いた。これは赤いりんごを見せて「これは緑?」と聞くより社会的圧力が強く、年長児はこうした質問に肯定バイアスを示しやすいと予測した。しかしこの予測に反し、日本の4、5歳児は3歳児に比べるとより強い否定バイアス(「いいえ」と答えることが多い回答の偏り)を示すことが分かってきた。子どもの「いいえ」という短い反応には、実際にはどのような意味が含まれているのかについて今後、検討する必要があるだろう(本当に質問者の質問を間違っていると思って否定しているのか、その子どもなりの意見があるのかなど)。また、今後の研究計画では、まったく別の種類の社会的圧力の強い質問をし、その際に年少児、年長児がどのような反応バイアスを示すかについての検討も予定しているため、この課題の結果とも比較したい。
次に、カナダの子どもと異なり(Fritzley & Lee, 2003)、日本とハンガリーの年長児が無意味語を含むYN質問に「分からない」と答える傾向を示すことも明らかにした。また、こうした傾向はそれぞれの国の大人の選好と一致した。YN質問にどのように答えるかについては、特に年長児については文化的な要因などさまざまな要因が混じり合っているのだろう。
こうしたさまざまなYN質問に、どの国のどの年齢の子どもが反応バイアスを示すか調べることは、言語質問を用いることの多い発達心理学研究に非常に重要な示唆を与えるだろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書の研究の目的で記述したものとは実験の順番が多少前後しているものの、現時点ではいくつかの実験を遂行あるいは完了しているため。

今後の研究の推進方策

今後も研究計画書に沿い、実験研究を着実に遂行する。ただし今回の社会的圧力を増加した場合の肯定バイアスについては、当初予測したものとは反対の結果が得られてきている。今後、このことがなぜ起こったのかについて調べる新たな課題を追加する可能性もある。
また、本年度に行った社会的圧力を増加した質問は、どちらかといえば誘導質問であった。来年度以降は、より子どもが「はい」と答えなけらばいけないようなより日常的・社会的状況(実験者のあるゲームの完成度合いについてなど)で、社会的圧力のかかりやすい質問をし、特に年長児がどのように回答するか調べる予定である。
ハンガリーとの文化比較についても同様に、共同研究者と連携し、データの収集を完成させる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 日本の子どもはなぜ「分からない」反応を好むのか? -日本の大人による「分からない」反応の評価について―2015

    • 著者名/発表者名
      大神田麻子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第26回大会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-03-20 – 2015-03-22
  • [備考]

    • URL

      http://www6.plala.or.jp/hattatsu/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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