本計画では回避学習課題を用い,エピソード提示(電気ショック)直後(0分),5分,10分,20分,30分時点のラット海馬シナプス電位を測定し,エピソード提示後の時間経過に伴うシナプス電位の動的変化を明らかにすることを目的とした。申請者はエピソード提示後5分時点から,微小興奮性シナプス後電流(mEPSC: miniature excitatory postsynaptic current),微小抑制性シナプス後電流(mIPSC: miniature inhibitory postsynaptic current)がエピソード非提示群に比べて増加することを明らかにした。この研究成果は平成28年3月に札幌で開かれた日本生理学会大会で発表を行っている。興奮性シナプス後電流は AMPA受容体由来,抑制性シナプス後電流はGABAA受容体由来であることから,これらのシナプス後電流の増加はシナプス移行によってspine上のAMPA受容体とGABAA受容体の数が増加した可能性があることを示唆できたことは,本プロジェクトの最も重要な成果であると考えられる。
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