本研究の目的は、視覚事象の予測を実現している二つのシステム(刺激文脈ベースの予測と行為ベースの予測)の協調の仕組みを解明することであった。事象関連脳電位(event-related brain potential)を用い、(1)刺激文脈ベースの予測は視覚ミスマッチ陰性電位の惹起とP2の減衰に反映されること、(2)行為ベースの予測は後部陰性電位の惹起とP1の減衰に反映されること、(3)刺激文脈ベースの予測は行為ベースの予測によってトップダウン制御されうること、(4)トップダウン制御のメカニズムは、行為ベースの予測による刺激文脈ベースの予測システムの働きの一時的停止であることを明らかにした。
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