本研究は、多様な学校改革を模索した国際的な教育運動である新教育運動に着目して、学級経営の理論と実践に関する比較教育史的考察を行った。特にデモクラシーや、協働、コミュニケーションといった米国で提唱された社会化原理の受容を分析し、日本の実践家がいかなる学級経営の理論を形成し、実践に取り組んだのかを明らかにした。従来の研究では、「少人数学級」の提唱や「立憲国家の政治組織」という学級モデルが提示されてきたが、本研究では、多人数の集団における多様性や、興味に基づく集団形成とそうした集団間の相互作用を重視した実践家の存在を示し、当時の学級経営の理論や実践が様々であったことを指摘した。
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