研究課題/領域番号 |
26780432
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
下司 裕子 (北詰裕子) 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (30580336)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 17世紀 / コメニウス / 表象 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績は大きく分けて2点に集約される。 一点目は、前年度に引き続き、コメニウスの『遊戯学校schola ludus』精読と翻訳の作業をすすめたことである。 本研究課題は、17世紀西欧を価値移行期として捉え、そのなかで「世界」がどのように表象されていたのかを、コメニウスの教育思想に引きつけながら考察するものである。 精読を進める『遊戯学校』というテクストは脚本形式になっており、子どもたちに世界がどのようになっているのかを演じさせるものである。 この『遊戯学校』は、世界最初の絵入教科書として名高い『世界図絵』とほぼ同じ「世界」を取り上げているとされてきた。その概ねの主題や、大枠としての相違などについてはこれまでの研究で明らかにしてきたが、さらに、書物形式の『世界図絵』で表象される世界と、オーラルな上演を前提に表象される世界とは、いかなる異同が存在するのかを緻密に明らかにするには、各部の細かい描写の分析が不可欠であり、その基礎作業としての精読が不可欠である。 二点目は、コメニウスの教育思想における表象の問題が、ひろく表象論一般のなかで、一連の教育思想のなかでどのように位置づけられるのかを検討するために、諸先行研究を整理した。その成果の一部は、次年度の秋に改訂出版予定の『教育思想史事典』の「表象」の項目執筆という形で、発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の産休・育休のため、10月から研究を再開することとなった。それに伴い、年度計画どおりには進まず、進捗も10月から3月にかけての半期分のみとならざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本課題の研究計画を遂行するために、「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認申請書」を提出し、これを受理された。この結果を受け、あと一年の研究期間延長が認められたため、その期間でこれまでの遅れている部分を補完していく予定である。具体的には、原典の精読を進め、発表(出版)を見越した翻訳原稿を作成すること、また、本研究の分析枠組みを精緻化するために、国内外における関連領域の二次文献の考察と論点整理の二点について重点的に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由としては、産休・育休のため10月から研究再開となり、当初予定していた夏期の海外への調査に行くこと、そしてそれに伴う準備等が出来なかったため、それらに係る予定の経費が未使用であったことから次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の夏期に、海外調査ができるように準備し、使用する予定である。
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