研究課題/領域番号 |
26780438
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
石川 眞佐江 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80436691)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 幼児 / 音楽表現活動 / ワークショップ / 遊び / 音遊び |
研究実績の概要 |
平成28年度は、計画・立案した音楽表現活動プログラムを東京都内私立T保育園において年間を通した3-5歳児の発達段階を踏まえた4回のプログラムを実施することにより、プログラムの系統性と連続性の検証を行うことができた。 3歳児については、第1回:声で遊ぼう(自分の声を知る、イメージを持って声で遊ぶ)に始まり、第2回:体で音を感じよう(楽器を直接身体感覚・五感を通じて味わう)、第3回:声で遊ぼう②(イメージを持って声を使い分ける)、第4回:声と楽器で遊ぼう(音声の使い分けを歌唱に生かす、楽器とのハーモニーを味わう)という段階を経て、自分の声や身体への気づきからそれをイメージを持って操作しながら表現に生かすというプログラムの道筋を示すことができた。 4歳児については、第1回:身体で音を感じよう(楽器を身体感覚・五感でとらえながらイメージをひろげる)、第2回:声で遊ぼう(自分の声を知り、イメージを持って声を使い分ける)、第3回:いろいろな息で音を出してみよう(身体感覚とイメージをもって息を使い分け、管楽器の原理を体験する)、第4回:日本の響きを体験してみよう(日本音楽の声の出し方や所作を模倣を通して体験する)という段階を経て、身体感覚や五感を使って音を感じるところから、徐々にそれをコントロールして音の表現へつなげること、またさらに文化的な型にふれ、それを遊びを通して模倣するという系統性を示すことができた。 5歳児については、第1回:自分の声で遊ぼう(イメージを持って声を使い分け、歌唱に生かす)、第2回:いろいろな息で音を出してみよう(身体感覚を頼りに息をコントロールし、音の表現につなげる)、第3回:日本の響きを体験してみよう(文化に共有される型を模倣し、いろいな表現を知る)、第4回:いろいろな物の音を聴いてみよう(さまざまな音に耳を傾ける)と発展的なプログラムを構築することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度においては、同一保育施設において年間を通したプログラムを実施することができ、プログラムの連続性という点において効果的な実証を挙げることができた。また、3-5歳児という年齢段階において、それぞれの発達段階を踏まえたプログラムを実施、検証することができ、プログラムの系統性という点においても大きな示唆を得ることができた。 また、上記の保育施設のほかにも、東京都内私立幼稚園、公立子ども園、長野県内公立子ども園など複数の保育施設においてプログラムの実施をすることができ、データの蓄積ができている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに蓄積した実施プログラムのデータをさらに精査・検証し、本音楽表現活動における子どもの育ちと保育への還元という視点からも検討を加える。最終年度となる本年度は、音楽活動プログラムの最終的な提案に向け、研究のまとめに入っていく。各プログラムの活動内容について、発達段階(系統性)とプログラムごとの関連性(連続性)という視点をもって、構築しなおし、モデルとなるプログラムを示していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等の購入分が残額として残ったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
消耗品等の購入に充てる予定である。
|