研究課題/領域番号 |
26780441
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大日方 真史 三重大学, 教育学部, 准教授 (00712613)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 保護者参加 / 学校参加 / 私的関心 / 共通関心 / 教師の専門性 |
研究実績の概要 |
本研究は、教育の私事化状況における学校参加論の重要な論点として、わが子のみに意識を向ける保護者の私的関心の排他性という問題を捉えたうえで、保護者の意識において子どもたちに向けられる共通関心が形成されうるとすれば、それへと至る意識の変容過程が、またそれを経た過程がいかなるものであるかを探るものである。探究の視点は、共通関心の意義と機能、共通関心の形成条件、形成された共通関心の持続性、共通関心と私的関心との連関・構成、共通関心の有無・質と学校関与との連関といった点に設定されており、これら諸点から多角的に保護者の学校参加の可能性を明らかにすることが本研究の目的となっている。 主な研究方法は、保護者を対象にしたインタビュー調査である。初年度にあたる26年度は、子どもを学校に通わせている保護者に対するインタビュー調査と、既に卒業した子どもの保護者に対するインタビュー調査とを実施した。これらのインタビューによってえられた音声データを文字変換してテクスト(トランスクリプト)を作成・蓄積しつつ、上記の視点から順次分析を進めた。特に、共通関心の意義およびその形成条件について、また、共通関心と私的関心との連関・構成についての探究の成果は、共通関心形成に資する教師の専門的な役割の分析とあわせて、論文にまとめて公表した。 この成果により、保護者の学校参加の条件としての共通関心の特性が明確化され、学校参加に向けた一つの可能性が提示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一定の成果について論文にまとめた点、データの蓄積が進み、分析が多角的に進められている点から、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
保護者を対象にしたインタビュー調査を継続しつつ、26年度に得られたデータともあわせて、共通関心の持続性や、共通関心の有無・程度と学校関与との連関等について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度の研究調査の進行過程で、27年度および28年度に出張による調査を当初予定より多く行う可能性が生じたため。そのため、消耗品購入の抑制、調査日程を長めに設定して複数種の調査を1回の出張において行うことによる旅費の抑制等を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、27年度分とあわせて、主に27年度の調査のための旅費に充当する予定である。
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