研究課題/領域番号 |
26780442
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
下村 智子 三重大学, 教養教育機構, 准教授 (80557984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育政策 / 教育課程 |
研究実績の概要 |
本年度は引き続き、資質・能力の育成に関する教育政策文書の収集を行うと共に、教育課程における21世紀型スキルの位置づけについて検討するため、教育課程の分析を進めた。PISA調査において好成績を収めているブリティッシュ・コロンビア州において現地調査を実施し、現在進行している教育課程改革動向における21世紀型スキルの取り扱いや、教育課程上の資質・能力の位置づけについて検討を行った。その結果、以下の三点がその特徴として明らかとなった。 ブリティッシュ・コロンビア州の新教育課程においては、コア・コンピテンシー(コミュニケーション、思考力、個人的・社会的コンピテンシー)をすべての学習者に必要な不可欠な資質・能力と位置づけ、リテラシー(読解力)と数値的能力(math skills)の基盤のもとに、急速に変化する社会に対応する市民の育成を目指す者となっている。また、新教育課程においては、学習活動における教員の裁量が拡大されており、個別のニーズに対応することが可能な柔軟性を備えていることが特徴として挙げられる。そして、これまでのような知識重視型の教育ではなく、「知る・できる・理解する」モデル(Know-Do-Understand model)に基づいた、より深い理解を促し、転移可能な学習が重視されていることが明らかになった。 先住民に対する資質・能力の育成に関する教育についてであるが、この度の教育課程改革における先住民教育に対する影響や関連について、管見の限り、見いだすことができなかった。引き続き、この点については課題としていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度に実施予定であった現地調査(オンタリオ州)が未実施のままであり、これまでの調査結果を総合的に捉えた分析が未完了であるため。
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今後の研究の推進方策 |
未実施のままであるオンタリオ州での現地調査を実施するとともに、これまで行ってきた情報収集や、アルバータ州とブリティッシュ・コロンビア州での現地調査の結果とあわせて検討し、カナダにおいて「21世紀型スキル」がどのように受容され、教育課程上に位置づけられているか、そしてその特質について考察を深める。また、そのような21世紀型スキルの育成において先住民教育がどのように位置づけられているかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに遅延してきた現地調査が未実施であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
未実施となっている現地調査(オンタリオ州)を実施し、これまでの調査結果と合わせて、研究成果のとりまとめを行う。
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