本研究の目的は、19世紀後半から20世紀前半のドイツ(プロイセン)で繰り広げられた「青少年教護」を取り上げ、荒れた生活環境にあり、罪を犯したり、不良化する虞のある青少年を対象とした保護と教育がどのようになされていたのかについて女性社会福祉職の活動に焦点を当てて考察することである。 この目的を達成するために、平成26年度に取り組むことを予定していた課題は、以下の三点である。一点目は、19世紀後半から20世紀前半のドイツにおける青少年を取り巻く社会状況、青少年に対する各種の政策および援助・保護・教育に関する全体像を把握するために、研究文献の収集を行い、検討すること。二点目は、女性社会福祉職が非行少年に対して行っていた保護と教育の内実を把握するためにベルリンで一次史料の収集にあたること。三点目は、福祉と教育を分析軸として当時のドイツの社会的状況を把握すること。 以上三点は、計画通り実施することができた。特に一次史料の収集に関しては、大きな成果を上げることができたと考えている。まず、20世紀初頭に設立された「ドイツ青少年教護センター」がまとめた『Handbuch fuer Jugendpflege』を入手することができ、当時の青少年教護の全体像を把握することが可能となった。また、「ドイツ青少年教護センター」で中心的な役割を担っていたFrieda Duensingという女性に関する研究文献も入手し、彼女が女性社会福祉職とどのような関係にあったのかを考察するための手がかりを得ることができた。
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