本研究の目的は、19世紀後半から20世紀前半のドイツ(プロイセン)で繰り広げられた「青少年教護」を取り上げ、荒れた生活環境にあり、罪を犯したり、不良化するおそれのある青少年を対象とした保護と教育がどのように行われていたのかについて女性社会福祉職の活動に焦点を当てて考察することである。 この目的を達成するために、平成28年度に取り組むことを予定していた課題は、公的機関および民間団体で活躍した女性社会福祉職の職務内容に焦点を当てて「青少年教護」の内実を明らかにすることであった。研究の結果、①女性社会福祉職に就いた女性たちが「青少年教護」の領域で活躍する際に中核的な役割を果たしていたのが「ドイツ青少年教護センター」であったこと、②同センターは宗教的な私的福祉が対応しきれない領域をカバーし、後見制度を重視したこと、③そこで働く女性社会福祉職は問題を抱える子どもたちの状況を個別に分析し、対応策を考えていたことが明らかとなった。 研究期間全体を通じて実施した研究成果としては、①女性社会福祉職による「青少年教護」はブルジョワ女性運動のネットワークを母体としながら発展・展開してきたこと、②女性社会福祉職による「青少年教護」はすでに犯罪を犯したり、不良化した青少年を対象とするよりもそのような状況に陥ることを未然に防ぐために劣悪な環境にあった子どもたちの救済に力点を置いていたこと、③その際、嫡出子・非嫡出子ともにその救済の対象としていたこと、が明らかとなった。
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