北部九州地方の旧産炭地における地域社会教育に関する歴史研究の結果、大きく以下の諸点が明らかとなった。①戦後産炭地の社会教育は施設体制・設備については一定の恩恵をこうむりつつも、石炭産業の撤退により、地域の共同性の解体など多くの否定的な影響を受けた。②その結果、地域によっては住民の共同性回復に向けた動きや有志による地域再生の取り組みが起きた。③他方で、自治体行政と研究者の地域社会教育に関する住民ニーズの実態把握に向けた共同調査なども試みられ、そこでは生活保護受給者を含む低所得階層であっても学習ニーズが存在することが統計的に示されることもあった。
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