過疎地域に住む高齢者たちが主体的に地域活性化事業を行うために必要となる公民館を中心とした学習環境の整備と、地方行政や他地域とのネットワークを形成するための生涯学習による高齢者学習支援プログラムの開発を行うことを目的としている。とくに、行政やNPOと連携を取る際に、住民全体の意見をすみやかに把握することができるシステムとして「地域白書」を公民館長や公民館主事を中心として各地域で作成をする。特に、行政やNPOと大学が連携を取ることで、高齢者による地域社会の自立促進が一層進むものと考える。 1年目は、日本の高齢者教育および地域政策関連の文献を収集し、それらの文献を整理することで、日本の高齢者学習支援に関わる全体像を浮き彫りにさせた。そのうえで、過疎地域への高齢者学習支援のあり方について、いかなる仮説が立てられるかの検討作業を行い、実証研究作業の土台を作った。2年目は、これまでも行っている、現在高齢者学習実践を先駆的に行っている地域や組織への継続的な調査だけでなく、いくつかの地域で「地域白書」を作成することで、どのような高齢者教育支援を行えば良いのかについて検討を行った。その地域とは、山形県金山町中田地区での「中田地域白書」と鹿児島県日置市野首地区での「野首地域白書」であった。その他、これまで調査分析してきた地域で作成した「地域白書」3点を含めて、計5地域で行った。3年目は、これらの地域の中から鹿児島県日置市野首地区に焦点を絞り、作成した「野首地域白書」をもとにして、1年間の公民館活動全体と照らし合わせながら、より良い公民館活動が行えるような学習内容の再構築を行った。 以上の検証をもとにして、公民館活動を活性化させるための高齢者の学習支援システムの構造化を図った。
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