研究課題/領域番号 |
26780452
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
岩下 誠 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (10598105)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アイルランド / 教育史 / 国民学校制度 / 公教育 |
研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究成果は、以下の通りである。 (1)史料調査・史料蒐集等について 2015年9月に、アイルランド国立図書館において1830年代から1850年代までに刊行された、国民学校制度に関する出版物を調査・蒐集した。また、アイルランド国教会が管轄するRepresentative Church Body Libraryにおいて、国民学校制度に対抗するために結成された教育振興団体であるChurch Education Society for Irelandに関する史料調査および蒐集を行った。国民学校制度の成立以降、当該制度が「世論」においてどのような評価を受けていたか、またそれと対抗する宗派的教育振興任意団体の反応がいかなるものであったのかを解明する上で、上記の史料の蒐集は必要不可欠である。また二次文献に関しては、アイルランド就学率に関する最新かつ最も信頼度の高い研究調査等を中心に、19世紀アイルランド公教育史に関する主要な文献を蒐集することができた。 (2)研究成果の公表について 2015年5月17日、日本西洋史学会第65回大会において、「1820年代アイルランド民衆教育における「公共性」の変容―1825年アイルランド教育調査委員会報告書を中心に」と題する報告を行った。前年度に進めていた、国民学校制度の成立に至るまでの1820年代の教育政策理念の変遷に関する報告であり、本研究の主要な部分を構成する報告としての意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
史料蒐集および調査は順調に進んでいるが、初年度、次年度での研究成果の公表を、学会発表というかたちでしか行うことができておらず、論文のかたちで公表することが遅れている。学会報告その他で指摘された問題点について、新たな史料や先行研究の再蒐集、再検討が必要となったためである。また、一部は海外の学会誌への投稿を目指して英語で執筆をしているため、英文校正にやや時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況を踏まえて、今後の研究は以下のように推進する。 (1)論文の執筆 初年度、次年度で進めた研究成果の公表として、論文執筆および投稿に主たるエフォートを振り向ける。具体的には、①「反悪徳協会」に関するモノグラフ、②「国民学校制度」に関するモノグラフ、③19世紀前半のアイルランドにおける就学率に関するレヴュー論文の三本を執筆、投稿することを目指す。 (2)(1)の執筆において再調査が必要と判断される史料・資料に関して、場合によっては三回目のアイルランドにおける史料調査も含めて、再度蒐集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、物品費の未使用にある(史料蒐集はデジタルカメラ等で行い複写や購入の必要がなかった)。未使用の理由は、旅費・史料調査費や英文校正等の費用が予定より超過することを見越して、当該研究で蒐集すべき二次文献を、できる限り大学からの研究費によって購入したこと(両者の文献は重複していたため)による。
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次年度使用額の使用計画 |
発生した次年度使用額は、英文校正、第三次史料調査(旅費)に振り向ける。
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