研究課題/領域番号 |
26780461
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研究機関 | びわこ学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦史 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 准教授 (40645305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域社会 / 天皇巡幸 / 庄内 / 公立小学校 / 酒田 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究の機軸である、地域社会における公立小学校の支持基盤の一端を明らかにするため、当時地域社会が抱えた政治課題と、地域における「学校設立要求」との関係性を検討し、研究成果の一部を学会発表及び研究論文への投稿を通して公表した。今回事例として取り上げた明治前期の山形県庄内地方では、前近代から近代移行期における政治機構の変化とそこから生じた諸矛盾が、近代化を推し進める県政と地域社会の軋轢を生み、政治課題として表面化していた。本年度はそうした軋轢の実相を検討し、そこでの、県政主導で進められた近代的先進校としての公立小学校の創設と、地域社会の人々の教育要求とのズレを明らかにした。なお、上記に際しては、課題の更なる明確化の為、庄内地方のなかでも、鶴岡と酒田の事例を個別且つ詳細に検討することとし、とりわけ本年度は、酒田の琢成小学校を事例に調査を進めた。検討の結果、巨額の予算を投下し、地域の教育実態と乖離した「先進校」を創設することで地域教育の近代化おし進めようとした山形県とその学校に対して、地域社会の人々の抱いた“違和感”が浮き彫りになった。本年度の研究成果は上記の通りであるが、さらに、①鶴岡における同様の調査を通じた、地域社会における先進的公立小学校創設と地域的支持基盤の実態把握、②そうした両校における学校運営の特徴が、地域社会に対して果たした意義や役割の検討、の2点が、今後の課題として浮かび上がった。そのため、こうした課題を地域の産業構造も視野に入れながら更に検討することで、本研究の精度向上が見込めることから、当初予定していた研究期間の延長が合理的と判断し、補助事業期間の1年間の延長を願い出、認められた。 次年度は、上記2点の検討と、これまでの検討結果の整理・統合を行い、本研究事業の最終的な総括を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のこれまでの進捗の中では、事例として取り上げる庄内地方の当時における政治的課題を、当該地域の産業構造も視野に入れて検討することで、そこの創設された公立小学校の地域社会における意義と役割を検討してきた。こうしたなかで、当該地域の特質把握をしていく上で、それぞれ異なった政治的・経済的背景を持つ鶴岡と酒田両地域に対する、個別的且つ詳細な検討が不可欠となった。そこで研究目的の明確化と研究成果の質的向上を目指す観点から、補助事業期間の延長(1年)を申請し、認められたことにより、今後の研究計画に若干の余裕が生じることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
【研究実績の概要】でも一部触れたように、これまでの研究の経過を踏まえ明らかになった課題である、①鶴岡における同様の調査を通じた、地域社会における先進的公立小学校創設と地域的支持基盤の実態把握、②そうした両校における学校運営の特徴が、地域社会に対して果たした意義や役割の検討、の2点を、地域の産業構造も視野に入れながら更に検討してゆく。さらにこの2点とともに、本研究事業の最終年として、上記の課題に関する学会発表や論文投稿とともに、本研究全体に関わるこれまでの個別検討結果の整理・統合を行い、本研究事業の最終的な総括をし、研究成果報告書としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象地域への出張機会の確保が十分できなかったため。 研究計画の変更に伴い、研究成果の公表回数が当初予定より減少し、さらに公表時期にも変更が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究対象地域への出張や、学会発表・論文投稿による研究成果の公表を行う中での支出とともに、研究事業最終年にあたっての最終的とりまとめに要する、備品購入や印刷経費として支出する予定である。
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