研究課題/領域番号 |
26780466
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
山本 和行 天理大学, 人間学部, 講師 (00584799)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育史 / 植民地研究 / 台湾 |
研究実績の概要 |
本研究は、1895年の日本による台湾統治開始から、1919年の第一次台湾教育令の発布までの時期におこなわれた学校儀式の挙行に着目し、学校儀式開催をめぐる統治者と被統治者それぞれの思惑の交錯に滲出する、植民地教育をめぐる思想のありようを明らかにすることを目的としている。 今年度は植民地統治下における学校儀式挙行の実態について明らかにするため、文献調査を通じて、「芝山巌事件」の慰霊としての「芝山巌祭」のはじまりと、その儀式挙行の状況について研究を進めた。 従来、「芝山巌祭」については、『台湾教育沿革誌』や『芝山巌史』『芝山巌誌』など、戦前にまとめられた二次史料を通じて、概説的に把握されてきたに過ぎなかった。こうした状況を克服し、儀式挙行の実際と台湾における植民地教育行政と儀式との関係性について明らかにすることが求められていた。本研究では今年度の研究活動において、台湾の国史館台湾文献館所蔵の『台湾総督府公文類纂』所収の公文書や、『台湾日日新報』『台湾教育会雑誌』などの新聞・雑誌資料を調査し、「芝山巌事件」の発生から「芝山巌祭」の挙行、その後10年間の儀式挙行の経緯、および儀式開催の台湾教育会への移管など、儀式挙行に関する具体的な動きを明らかにした。 以上の成果を踏まえ、今後、第一次台湾教育令発布に至る時期までの儀式挙行の様子を明らかにすることを通じて、統治者・被統治者の双方の「芝山巌祭」に対する志向を解明し、台湾の植民地教育における儀式挙行の位置づけについて明らかにすることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究調査については、台湾総督府における学校儀式の位置づけについての資料調査を予定どおりにおこない、研究成果発表もおこなうことができたため、順調に進展しているといえる。 ただし、台湾の国民小学などに所蔵されている学校関係文書の調査については、連絡調整の段階にあり、調査予定はやや遅れているため、達成度としては、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎えるにあたり、調査が遅れている学校関係資料の調査を推進するとともに、これらの資料を含めた諸資料に基づいた研究成果の公表を進める。 具体的には調査研究を夏(8月~9月)までに終了するとともに、学会発表、論文投稿、著書出版、公開講座などでの研究成果公表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費について予定していた金額よりも支出が抑えられた点、および、調査の進展状況にともなう調査旅費の圧縮によって、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、調査を十分に行うことができなかった研究調査旅費、および学会発表における出張旅費に使用する計画を立てている。
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