本研究では、ハンセン病療養所を活かしつつ、ハンセン病回復者と協働した学習プログラムを開発することを目的とし、①ハンセン病療養所が統廃合されつつある状況を踏まえて、その将来的な経営、活用の実態がどのようになされようとしているのか、その実態を明らかにすること、②ハンセン病問題を学ぼうとする学習者に対して実際に学習プログラムを構築・実施することを通してその成果と課題を明らかにすること、③学習プログラムがハンセン病療養所にもたらす教育効果以外の効果を検討することの3点を研究課題とした。①の課題については、ハンセン病市民学会という学術/市民活動団体の名前ではあるが、全国のハンセン病療養所に向けて、教育・学習の現状について把握するための調査を行った。 ②の課題については、2016年のハンセン病療養所での学習プログラムの実施中心にいくつかの実践を国立ハンセン病療養所邑久光明園において行った。③の課題については、予備調査でインタビューを行った沖縄愛楽園交流会館の学芸員に追加のインタビューを行い、博物館を中心とした教育・学習、啓発の拠点をボランティアを含めた市民で作り上げることの意義と効果についての知見を得ることができた。 以上の、量的・質的な研究を行なった成果については、研究論文としての整理はもとより、2017年、日本福祉教育/ボランティア学習学会長野大会の学会シンポジウムにおいて「ハンセン病問題に向き合う福祉教育・ボランティア学習の探究」というテーマで研究報告を行った。
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