戦前の小学校教師について、師範学校卒業者は一面誠実だが偽善的であったなどと評価され、これまで「師範タイプ」と呼んで批判が行われてきた。しかし実は教師たちの大半は師範学校卒業以外の方法で免許状を取得しており、彼らがどのような力量を持ち、どのような教師だったのかを明らかにしなければ、教師のあり様を正確に把握・批判し、今後に生かすことはできない。本研究は、どのような学識があれば師範卒でなくとも免許状を授与されていたのかを歴史的に研究する第一歩であり、参考書全体を通読し把握する勤勉な学習習慣や、一部の資格で教育制度や教員の管理面の知識を重視する傾向がみられたことなどを明らかにしたものである。
|