本研究は、多文化国家オーストラリアにおいて、同国初のナショナル・カリキュラムでその重要性が主張される「汎用的能力」がどのように育成されているのかを、政府が発表する政策文書の分析と現地での聞き取り調査、授業等の観察をもとに検討した。その結果、カリキュラムにおける汎用的能力の位置付け・扱いをめぐっては各州で対応にちがいがあること、特に遠隔地先住民コミュニティではその導入に困難を抱えていること、それを解決する上で就学前教育の充実や教員の採用・研修制度をはじめ環境の整備に力が入れられていることを明らかにした。
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