研究課題/領域番号 |
26780474
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
朴澤 泰男 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (00511966)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中途退学 / 大学生 / 中退 / 高等教育 / 教育政策 / 奨学金 / 所得 |
研究実績の概要 |
本研究では、個人の行動の分析から、現代日本における(A)大学生の中途退学の社会経済的な背景と、(B)退学が個人に及ぼす社会経済的な帰結を明らかにする。これらを踏まえ、(C)退学の抑制政策の効果を分析することにより、効果的な退学抑制政策の在り方に関し、示唆を得ることを目的としている。この目的を達成するために、訪問調査と計量分析の二つのアプローチを採用している。 訪問調査については、上記の(A)と(C)について示唆を得るため、平成28年度は非大都市圏、特に研究代表者の所属機関から見て、比較的遠方の地域にある大学のうち3校を訪問し、退学者の属性や、退学抑制の取組みについての聴き取りを継続して実施した。 計量分析では、平成28年度は主に三つの活動を行った。第一に、上記の(B)にアプローチすべく、JGSS(日本版総合的社会調査)データを使用して、大学を中退した男性の年収を他の学歴と比較する分析を行った。結果は、日本教育社会学会大会で報告した。第二に、独立行政法人統計センターに委託した政府統計のオーダーメード集計の統計成果物を用いて、地域別に大卒者の相対賃金と相対就業者数、及び大学進学率の相互関係を分析した。結果は、一般誌への寄稿の中で報告した。第三に、既に保有している大卒就業者調査を用いて、大卒男性の年収が、出身大学タイプによってどう異なるかを分析した。結果は、所属機関のディスカッションペーパーとして発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
訪問調査については、平成28年度も3校への訪問を着実に進めたものの、全体のスケジュールの中では、初年度の遅れを完全に取り戻したとは必ずしも言い難い。 一方、計量分析については概ね順調に進めることができているが、中退の社会経済的帰結(年収の学歴間比較)の分析結果を論文の形で成果にまとめる作業が遅れている。 以上を総合すると、「やや遅れている」と判断されるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、研究を推進するために、交付申請書に記載したように着実に訪問調査と計量分析を遂行していきたいと考えている。特に計量分析において、結果を確実に論文にまとめていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生した主な理由は、旅費を節減できたことが大きい。本研究と関連の深いテーマの研究に参加し、当該研究の資金で大学訪問調査を行うことができたために、平成28年度は、結果として、遠方への出張に本研究から旅費を支出する必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の一環として実施した研究の成果を、海外で発表するために必要となる費用に支出するとともに、新たなデータを用いた追加的な計量分析の実施を検討し、その成果報告関連費用に充てることも視野に入れたい。
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