本研究の目的は、留学経験を持つ社会人に対して、「留学振り返り」調査を実施し、その結果から、1)グローバル人材の再定義と2)現行の留学支援体制(留学前・中・後)を再検討することであった。研究期間中、社会人(留学経験のある卒業生)を対象とした「留学振り返り」現状調査を実施し、本研究への応用方法を思考するのと同時に、日本国内/外の「留学振り返り」の実態調査・文献先行研究と申請者が実施する社会人(卒業生)への「留学振り返り」調査にてまとめたデータを整理し、在学期間だけで完結していた留学前・中・後の3段階による従来の「留学支援体制」を見直した。具体的に、社会人(卒業後10年以内)の期間を新たに設定し、留学前・中・後・社会人の4段階に分けて、支援体制の再構築を行った。延長させた「社会人」期間では、「在校生との留学についての討議」、「社会人同士のネットワーク構築と討議」等を導入することで実社会における留学経験の具体的活用方法とその位置づけを再認識するきっかけを社会人に提供し、また、その知見を在校生に対して、「役立つ、活かす」具体例として提示できる仕組みを構築することで、社会人と在校生の双方にとって有益な仕組みを構築することができた。社会人への留学振り返り調査では、32名の卒業生から聞き取りを実施することに成功し、就職活動と留学経験及び留学経験とキャリアについて調査した。最終年には、留学経験者である卒業生を3名招聘し、現在の仕事と留学について考えるシンポジウム「留学後の就職活動と仕事ー社会人生活から考察する留学経験の意義とその可能性ー」を開催し、本研究のテーマである留学と社会人経験を結びつけて考える集大成とした。
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