研究課題/領域番号 |
26780485
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山口 洋典 立命館大学, 共通教育推進機構, 准教授 (90449520)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 受援 / 実践評価 / 学習評価 / 教育実践 / 共感 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、前年度に例証を重ねた「インター・コミュニケーションのモデル」について、本研究では主体の・対象・運営者の三者の視点を重ね合わせることで精緻化を図った。その際、本研究において基軸に据えたプロジェクトマネジメントにおける「プロセス(過程)」と「アウトカム(成果)」と「インパクト(波及効果)」の3要素に特に注視した。そのため、当職が担当する演習型科目を素材として、主体・対象・運営者の三者の関わりについて、参加型アクションリサーチを展開した。具体的には復興支援の現場で生起した現象における関係当事者間の相互作用の有無を、その現場を包み込む「認知的規範」と「価値的規範」の言語化から評定した。具体的には、現場での活動に参加した者らのポートフォリオ等から、再学習への発露がどのように開かれ、どのようなときに閉ざされるのか、社会心理学的知見から明らかにした。 考察にあたっては、インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校のロバート・G・ブリングルによる「SOFAR」モデルを援用した。それにより、当事者と研究者など、立場を超えて、よい学習環境の創出・維持・発展に必要な観点に迫ることができた。なお、ここで言う学習とは、教育プログラムへの参加者の「学修」的側面と、経営戦略論等で言われる「学習する組織」における文化的側面の両面を指している。とりわけ、学修的側面においては学習者への「個別性」が際立ち、組織の文化的側面においては業務遂行への「効率性」が重視される中、多様な人々が現場で関わり合うことによる気づきや学びを深める仕組みと仕掛け、すなわちよい学習環境の創出、維持、発展のために妥当となる規範、役割、手段に迫った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き、比較的頻繁に現地を訪問し、当事者との対話を重ねることができている。また、特に被災地間の比較研究にあたっては、本研究と効果的に連動を図るべく、他大学の研究者らと共同研究プロジェクトを進めることとし、民間助成団体から支援を受けた。そのため、当初の計画よりは経費の執行率が下がっているが、最終年度における研究成果のとりまとめにあたり、実効的な推進にあたるよう調整、留意した結果でもある。また、研究成果の公開にも積極的にあたり、査読付論文の掲載、国際学会での発表も重ねた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は学内の研究支援制度として、学外研究により、デンマーク王国オールボー大学心理・コミュニケーション学部の客員研究員に就くこととなった。同大学ではUNESCOチェアプログラムにより、全学機関としてPBLアカデミーを設置している。40年にわたる集団的な教育実践の知見に学びつつ、引き続き精力的に成果の公開と、あわせて過年度の現地調査のフォローアップに努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前掲のとおり、他大学の研究者らとの共同研究が推進されたことによる。本研究課題による調査等との関連内容を調整・精査することにより、特に旅費において執行額が下がる結果となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
計画当初においてはアジア圏でのフィールドワークを行う予定としていたが、既に述べたとおり、学内の研究支援制度により、デンマーク王国のオールボー大学にて学外研究を行うこととなった。そのため、フィールドワーク先や研究手法についても再考し、特にヨーロッパ圏におけるコミュニケーションデザイン研究の実践例に焦点を当て、最終年度としての効果的な取り組みを進めていく。
|