本研究は、朝鮮戦争期韓国の『戦時教材』シリーズを発掘したものである。 『戦時教材』シリーズは、避難地学生に無償に供給することで国家主義を貫徹させる主要な読本であったが、敵と同士という二分法に頼り、冷戦的反共主義を全面的に拡大させ、これを通してアメリカで代表される自由民主主義陣営に対する過度なる憧れを内面化させる戦略的出版の一つであった。また、大人に比べ比較的に特定なイデオロギーに偏りやすい子どもを対象に、戦後国民成形を目標とした国家主導の媒体であったことがわかる。当時、戦時教育が目指していた国家主義の実像と志向を具体的に把握できる有効なテキストがまさに戦時教材である。
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