研究課題/領域番号 |
26780489
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
呉屋 淳子 山形大学, 教育開発連携支援センター, 講師 (10634199)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 民俗芸能 / 学校教育 / 奄美 / 学校芸能 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「鹿児島/沖縄」の境界に位置する奄美諸島の高等学校における民俗芸能の教授と創生に着目し、境界領域であるが故に生じる民俗芸能の新しい継承過程の様相を明らかにすることである。本研究の大きなリサーチクエスチョンは①奄美諸島の学校教育における民俗芸能の教授は、現代奄美諸島の人々の日常における文化的実践のなかでどう位置づけられ、境界領域で見られる「複数の文化的アイデンティティ」とどのように関係しているのか、②地域社会と学校の双方が協力し、民俗芸能の継承に力が注がれるとき、そこでは何が重要とされ、どのような取り組みが行われているのか。その一方で、③学校教育で実践される民俗芸能が複雑なアクターと関わることによって、指導者の教授内容やその方法が取捨選択され、芸能が変容・持続する過程にどのような影響を与えているのか、の3点である。 平成27年度は、主に奄美高校の郷土芸能部の活動に注視しながら、奄美高校とそれを取り巻く地域社会の視点から学校という「場」の捉え直しを行った。その結果、次の2点が明らかになった。一つは、八重山諸島と同様、奄美諸島でも学校で教授された民俗芸能が地域における民俗芸能の一つとして展開し、かつ地域社会に受容されていることが確認できた。もう一つは、一見「伝統的」と思われる民俗芸能である一方で、近代的な制度や考え方がその成立の根本に関わるほどに影響を受けていることが明らかになった。今年度の成果は、学校教育で実践される民俗芸能の教育や民俗芸能の継承に力が注がれるとき、地域社会だけでなく、県・市教育委員会と学校(とくに、民俗芸能の教育を担当する指導者)の関係を再検討する必要があることを発見した点にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、奄美諸島の民俗芸能が学校教育に積極的に導入された経緯に関する資料を収集し、八重山諸島と比較しながら奄美諸島の状況を整理することによって、本研究課題によって得られる成果の方向性を定めることができた。今年度の成果は、一見「伝統的」と思われる民俗芸能である一方で、近代的な制度や考え方がその成立の根本に関わるほどに影響を受けていることを発見した点にある。しかし、現地調査については、当初予定していた調査地と調査日程があわず、結果当初の計画よりもやや遅れることとなった。以上より(3)の評価をするに至った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初より引き続き学校教育における民俗芸能の教育の状況とその指導に関わる現地調査、情報の整理を中心に実施する計画であったが、今年度の現地調査の遅れを取り戻すべく、さらに現地調査を中心にすすめる予定である。なお、調査の日程については今年度の反省を踏まえて調査先と綿密な調整を行い、あわせて短期間で効率的な調査を実施するために、現地における調査方法の見直しを適宜行いながら進めるものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査については、当初予定していた調査地と調査日程があわず、結果当初の計画よりもやや遅れることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
調査の日程については、今年度の反省を踏まえて調査先と綿密な調整を行い、あわせて短期間で効率的な調査を実施するために、現地における調査方法の見直しを適宜行いながら進める。
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