研究課題/領域番号 |
26780491
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
宮崎 沙織 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90591470)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会科教育 / 環境学習 / システム思考 / アメリカ合衆国 / 国際情報交流 |
研究実績の概要 |
本研究は、アメリカ合衆国の環境リテラシー論を導入した社会科の新しい環境学習カリキュラムを構築することを目的としている。環境リテラシーとは、知識・スキル・感性・行動を含めた環境教育で獲得すべき目標概念のことを指す。 二年目となる平成27年度は、アメリカ合衆国と日本の社会科環境学習カリキュラムの比較によって設定した枠組み(前年度実施)に基づき、社会科環境リテラシー育成カリキュラムの構造化を図るため、国内外での資料情報収集と授業実践レベルでの分析・検討を行った。 アメリカ及び海外の動向については、情報収集・交換のために国際学会(第8回世界環境教育会議)に参加し、様々な環境学習プログラムや授業に関する資料情報を得ることができた。 日本については、多くの学会や研究会への参加を通して、本研究の中間成果の妥当性・信頼性について、検討を行った。特に、現在積極的に行われているESD(持続発展教育)としての環境学習にも注意を払い、研究者や実践家から多くの意見を得ることができた。また、これまでの授業実践の収集も行い、目標としている市民像、スキル目標、知識目標の視点から分析を行った。 その結果、アメリカ社会科において環境学習に積極的な授業実践では、特に地理的な学習で、システムとしての理解や思考を促す傾向が見られた。一方、日本の社会科では、市民性育成の要素が強まりつつある中、批判や参加に必要なスキルが求められていることが明らかとなった。これらの中間成果の一部は、日本社会科教育学会第65回全国研究大会で発表した。今後、結果の妥当性・信頼性を再度熟慮し、次年度に論文として公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本の社会科環境学習に関する研究は十分行うことができた一方で、アメリカ及び海外の動向に関しては2回予定していた海外渡航が、1回のみとなってしまった。よって、アメリカにおける授業実践に関わる資料情報収集や聞き取り調査を十分行うことができず、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度(三年目)は、現地調査(アメリカ)を再度行い、最終的には日本型社会科環境リテラシー育成カリキュラムの構築を目指す。 具体的には、授業実践にかかわる現地調査(アメリカ)を行った後、これまでの研究成果をもとに、社会科環境リテラシー育成モデルカリキュラム(案)を作成し、小中高教員や研究者から意見聴取を行う。そして、収集した意見をもとに改善し、社会科環境リテラシー育成モデルカリキュラムとして研究発表及び論文化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度(二年目)に予定していた現地調査(アメリカ合衆国)を実施することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度(三年目)は、研究成果の公表のため、追調査、学会及び研究会参加のための旅費や論文作成のための物品費に使用予定である。
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