研究課題/領域番号 |
26780494
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
水崎 誠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50374749)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 一斉唱 / 無伴奏 / 教師 |
研究実績の概要 |
本年度は,研究2年次として2つの研究をおこなった。研究1は,幼稚園教師を対象とした歌唱活動に関する質問紙調査である。歌唱教材曲選択規準と,彼らが採用している歌唱活動の方法について検討した。歌唱活動(一斉活動)をする時の方法について,歌唱形態と伴奏に関する質問項目を提示し,5段階で回答させた。グループ唱と個別唱は,音高の正確さの改善にとって効果があり推奨されているが,多くの教師は採用していなかった。またCD伴奏と無伴奏では,教師が伴奏をおこなわない分,より多くの歌唱指導を可能にさせる利点があるが,あまり採用されていなかった。「幼児全員で鍵盤楽器に合わせて歌唱する方法」が,幼児の歌唱行動に望ましいかどうかを検討することが今後の課題である。 研究2では,研究1の結果を受けて,実際の歌唱活動の様子を継続的に観察した。主に年長児クラスを対象として歌唱活動を観察した。ここでの実践は,研究1の結果とは異なっていた。すなわち,教師は幼児の実態に合わせて,意図的に無伴奏やCD伴奏を選択して,グループ唱や個別唱を自然に取り入れていた。それが幼児にとって無理なく展開されていた。重要なことは,このような実践では幼児の歌声がマッチしている事実である。多様性に富んだ活動をどのように教師が展開するのかがポイントであると思われる。研究2の結果については,最終年次に発表の予定である。 2つの研究と並行して,イギリスで開催された音楽教育リサーチ(RIME)の学会に参加して最新の研究成果を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年次であり,予定通り第一研究としての質問紙調査の発表をおこなうことができている。この調査は,一般的な歌唱活動の実態を確かめる上で重要なものである。すなわち,経験的事実に対して確かな証拠を与えるものである。観察研究では,継続的に観察をできたこと,およびマイクロフォンを使用した大規模な個別録音の実態調査ができたことも大きい。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度(研究最終年度)では,前年度におこなった観察調査の結果を複数の学会で発表する。一斉歌唱活動中のプロセスを,一人ひとりに取り付けたピンマイクで録音しており,膨大な音声データを有している。それを音声分析機器で処理していく。この分析をおおよそ6月頃までには終えて,分析・考察に入る。
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