研究課題/領域番号 |
26780498
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
生馬 裕子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60549088)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小学校外国語活動 / 英語音声産出能力 / 教材開発 / 外国語学習歴 / 到達目標 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目標は、小学生における英語音声面の学習について、理解と産出(発話)の能力を習得・向上させるための教材開発と教授法の整備を行うことである。定期的に指導助言や実践支援に携わってきた小学校において学習ログの収集やアンケート調査の実施を行い、実証的なデータに基づいて検討を進めてきた。研究期間を通じ、小学校での英語活動の授業内外での学習歴・学習体験のデータを含めた児童の個人的な外国語接触経験のプロフィールを定量的に収集し、解析を進めてきた。これまでの調査結果としては、音声知覚能力の向上に対して、文字への暴露機会の増加と音声的特徴に注意させた集中的かつ継続的な学習の確保が影響を与えるという可能性を、もっぱら技能面のテストスコアの分析に基づいて明らかにしてきた。実践支援においてはこの成果に基づいて方針を策定し、改善を加えた。データベース構築については計画どおりに進行し、予定していたデータの収集はほぼ終息している。当年度は特に、アンケート調査の自由記述部分の分析に着手した。今後はテストスコアなどからのスキル面の変化と、自由記述のテキストデータなどからの態度面の変化・特徴との関係性について検討を加えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施に際して3つのサブテーマを設定した。サブテーマごとに進捗状況を評価する。 【サブテーマ1:データベース構築】児童の英語能力データの定量的な収集、外国語学習の進展に影響する諸要因に関するデータベースの増強、研究のための基礎資料の拡充を計画どおり進行させた。時間的余裕があった場合に実施を計画していた、過年度のデータベースの整備については年度終盤に着手し始めた。大幅な繰り上げとはいかなかったが、おおむね順調に進展している。 【サブテーマ2:ツール開発】初年度に計画どおり到達していなかった実験用・教育用ツール開発の遅れを取り戻し、当初計画で2年目に取り組むとしていた学習教材開発に取り掛かることができた。ツール開発を本研究課題のテーマの一つを成すものとして設定しており、他のサブテーマの成否や教育効果の検証に影響を与えるため、進捗の遅れは懸案となっていたが、当年度中に当初計画どおりの進捗を回復した。 【サブテーマ3:実践支援・小学生における英語音声能力の発達要因検討】実験協力校での授業実践支援も軌道に乗り、当年度の終盤頃からはサブテーマ1で整備中のデータの解析に基づいて技能面の発達と認知・態度面の変化の関係性の検討に入った。当初計画で立案の進捗にしたがっており、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には、影響要因の提案、学習教材開発が完成するよう、研究が当初計画どおり進まない場合は、開発ツールの種類を適度に調整する。 【サブテーマ1:データベース構築】年度前半までにデータベースの構築を完了する。 【サブテーマ2:ツール開発】教材(授業時使用/家庭学習用)として用いるためのツール(iOSアプリ)の開発を継続する。不断の動作検証や実践中の積極的な使用を通して、開発したツールの有効性の検討・改良も同時に実施する。開発したツールは、AppStoreへ無料で公開し、研究成果を還元する。 【サブテーマ3:小学生における英語音声能力の発達要因検討】サブテーマ1での収集データを分析し、問題点の洗い出し、実践方法の改良を重ねながら、データ分析を踏まえて小学生の英語音声能力の発達に影響を及ぼす要因の検討を行う。 研究期間全体を通じ、学会発表、論文投稿、教員養成および教員研修の機会などにおいて、研究成果の還元を積極的に行う。加えて、研究及び実践の推進のために、学習データの蓄積・整理に活用できる簡便なツール(iOSアプリ)開発も副次的に行うが、こうしたツールの中には、研究者のみならず教員養成課程学生や現場教員にも日々の実践の中で活用して頂けるものがあると思われるため、ツール公開後は大学での授業や公開講座等で紹介し成果を還元したい。
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