本研究は、幼児~児童期のこどもの集団的な造形活動について、時系列の活動記録と視線分析を併せて用いながら、技能伝搬におけるこども同士の相互作用の過程を明らかにした。活動への見通しが未確定で不安定な状況下のこどもが、自ずと他者の造形行為に眼差しを向け、そこで何らかの手がかりが得られた場合に、さらに注視を続けていく過程を明確に示すことができた。他者の造形行為への注視行動は、技能伝搬の契機につながるほか、幼児においては模倣による関係性構築のきっかけとなる場合があることも分かった。他者観察をあまり行わない場合でも、他者の制作物や発話内容から情報を得ていくことも明らかとなった。
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