本研究は、社会科教育を基盤として、市民性(シティズンシップ)の育成を目指した社会参加学習に関する研究を行った。日本におけるシティズンシップ教育に関する理論的整理を行い、学校と地域社会との連携の取り組み活動における社会科教育で育成すべきことについて検討を行った。また、市民と行政や学校が連携しているいくつかの事例を取り上げ、社会のさまざまな事象や課題に対して、どのように解決すべきなのかを考え、積極的に行動できる教育活動のあり方について検証した。「社会参加」という改正教育基本法で用いられた言葉を、実際の授業ではどのように活用するとよいのだろうか。市民性教育研究の先進地であるアメリカの理論や取り組みや、実際の教育実践事例について、日本の理論研究や実践的取り組みと比較することにより、日本における市民性教育の実践を検証し、社会参加学習について理論的に考察した。学校と地域社会が相互に連携し協力し合いながら「持続可能な社会」の形成に向けて具体的な教育プログラムを開発することを目指した。 日本では、学校や子どもたちの放課後を含めた学びをサポートするための行政、学校、地域のネットワークは脆弱である。アメリカだけではなく、例えば、イギリスにおけるシティズンシップ教育では、どのように「社会参加」を目指した授業実践を行うのか、事例を検証した。イギリスでは教科シティズンシップの導入以降、社会参加学習の導入により、社会を関わることが可能となる様々な教育活動が注目されている。 今後の課題としては、アメリカやイギリス以外の、他の諸外国における教育実践事例について検討することが挙げられる。
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