最終年度は、これまでに収集及び開発してきた教材を基に、ワークブック(『感じる力・表現する力を高めるための総合的な芸術教育ワークブック1』『感じる力・表現する力を高めるための総合的な芸術教育ワークブック2』)の作成に取り組んだ。 これまで日本において、総合芸術教材や活動に関する研究、実践は行われてきたが、それらに関する児童用のサブテキストは見られなかった。このワークブックは、7つの活動内容項目から成り、また各ワークシートにはねらいが記されていることから、児童自身が音楽と造形分野の共通性や関連性、五感の相互性など、総合芸術教育の分野を意識しながら学習できる他、芸術に対するものの見方を広げることができるようになっている。また、音楽科及び図画工作科等の教科内では扱いにくかった五感を往還させた活動や領域横断的な活動等を通して、音楽及び造形能力とはまた別の感性の覚醒、コミュニケーション能力の育成にも生かすことができるようになっている。 さらに、このワークブックは、保育者・教員を目指す学生や教員用としても対応しており、このワークシートを使用することによって、これまで一部の教育現場でしか行われてこなかった総合芸術教育を浸透させることができると期待している。 当初作成予定であった教師用指導書は、研究分担者として研究を進めた基盤研究(C)「『総合的・領域横断的な芸術表現教育』の指導者養成に関する実証的研究(課題番号26381200)」の研究成果報告書の中で執筆した。この報告書とワークブックを用いることで、教育現場の教師は、総合芸術教育の活動内容及び指導法を把握できるようになっている。
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