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2014 年度 実施状況報告書

発達性ディスレクシアに対する視覚機能トレーニング

研究課題

研究課題/領域番号 26780511
研究機関北海道大学

研究代表者

土田 幸男  北海道大学, 教育学研究科(研究院), その他 (70710119)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード発達性ディスレクシア / ワーキングメモリ / 視覚的注意 / トレーニング
研究実績の概要

2014年度は以下の点を実施した。
【1 視覚における読みと有効視野を文献調査】本研究が対象とする視覚注意スパンは視覚の有効視野と密接な関係がある。また,日本語はアルファベット圏の文字文化と異なり,縦読みや漢字の使用など独自の要素が多い。このため,日本語における読みと有効視野に関する文献調査を行った。
【2 児童に対する視覚ワーキングメモリトレーニングの実施可能性の検討】市販のワーキングメモリトレーニングツールは,遂行の動機付けを高めるための工夫がされている。しかし,本研究で作成済みのワーキングメモリトレーニングは,厳密なトレーニング効果を検討するため,動機付けを高める工夫はしていない。このため,児童に問題なく実施できるかどうか,2名の児童に訓練を実施して確認した。
【3 視覚注意スパントレーニングに用いる刺激の選定】トレーニングとなる課題を実施している先行研究(Lovier et al., 2012)はフランスで行われており,彼らにとって未知の文字刺激として日本語の平仮名が用いられている。本研究の課題は先行研究に基づいて作成するが,日本で実施するには別の刺激を用いる必要がある。このため,日本人にとって未知の文字刺激として神代文字を用いる。神代文字は平仮名と同様の文字数であり,この中から他の実験刺激および既存の平仮名や漢字などに類似していない刺激を選別する必要がある。このため,20人の参加者に刺激の評定を求めて,トレーニング課題に用いる刺激を選定した。
【4 視覚注意スパントレーニング課題の仕様検討】トレーニング課題作成を依頼する研究協力者と打ち合わせを行い,課題の具体的な仕様を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2014年度分の研究計画では,トレーニング対象である視覚注意スパンと深い関連のある視覚の有効視野について文献調査を行った。視覚注意スパンは有効視野と密接な関係があるものの,有効視野以上に視覚的記憶との関連が指摘できることを確認した。この上で,視覚注意スパントレーニングの作成に取り掛かった。視覚注意スパン課題を用いている先行研究と言語が異なるため,トレーニング課題に用いる刺激の選定は,トレーニングを成功させる上で非常に重要な点となる。健常成人20名を対象に,新たな刺激候補である神代文字45文字について刺激の評価を実施した。これにより他に用いる刺激と類似しておらず,既存の日本語文字とも類似していない刺激を選別することができた。また,実際に児童2名に対してワーキングメモリトレーニングを実施することで,児童に対して実施可能であることを確認した。具体的なトレーニングの仕様についても,プログラムを作成する担当者と打ち合わせができており,おおむね順調に進展しているといえる。2015年度はトレーニングの実施およびトレーニング期間前後での脳活動について検討を行い,学会発表と論文発表を進めていく。

今後の研究の推進方策

2015年度は引き続きトレーニングプログラムの作成を進めていく。その上で成人30名にワーキングメモリトレーニングか視覚注意スパントレーニングのどちらかを実施し,トレーニングの効果が視覚処理にどのような影響を与えているのか脳波による事象関連電位を測定することで検討する。トレーニング効果は特に低次の視覚処理に影響を与えることが予測されるが,2つのトレーニングによりどのような違いがあるのかを検討したい。上記の結果をもとに,有効なトレーニングを児童に対して用いて実施していきたい。

次年度使用額が生じた理由

プログラム開発委託のスケジュールを調整した結果,次年度に申請することとした。

次年度使用額の使用計画

2015年度はプログラム開発委託費とともに,被験者謝金,研究協力者の雇用として使用していく。実験参加者がトレーニングを確実に遂行する保証として,謝金は不可欠であるため,時給1000円程度を目安に支払う予定である。また,児童を対象に実験を行う際,効率的な遂行を果たすためには児童や保護者との調整を円滑に行う研究協力者が必要である。このため,研究協力者を雇用したいと考えている。これらの結果を各学会において発表を行っていくため,そのための旅費としても用いたいと考えている。

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公開日: 2016-06-01  

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