研究課題/領域番号 |
26780515
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平林 ルミ 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (30726203)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 質問紙 / 聞き障害 / APD / ワーキングメモリ |
研究実績の概要 |
聞き障害を構成する聴覚的な注意・感覚・知覚・認知・記憶の各領域に関する評価方法について国内外の先行研究や質問紙のレビューを行った。聞き障害については,AuditoryProccessingDisorder(APD)という用語で中枢神経での聴覚情報処理の問題を指摘している研究は見られるが,一度にたくさんの情報を処理することができないというワーキングメモリの小ささと音声情報の理解の難しさとの関連を調べた研究はほとんど見られなかった。 本研究では,これらの先行研究を参考にAPDの要素とワーキングメモリの小ささ双方を含め,より大きな枠組みで聞こえの障害をとらえるためのチェックリストの作成を行った。 欧米では,FM補聴器システムを使った聞こえの困難への支援が行われており,その効果が検証され成果が得られている。FM補聴システムは高価であるため,個人で負担することが難しい。そこで,福祉サービスの補助が必要となるが,福祉サービスを提供するためにはその困難さを客観的な方法で評価する必要がある。APDなど事例は一般的な聴力検査では困難が認められないため,その評価は専門機関で神経心理学的手法を用いて行われている。この方法を通常の学校や地域の耳鼻科および支援センターが行うことは現実的でない。そんななか,欧米では民間の補聴器会社が,ヘッドフォンとパソコンがあれば実施できる評価バッテリーを組み込んだソフトウェアを発売している。このソフトウェアは英語圏でのみ活用できる状態にある。 こういった近年の動向から考えると,今後は,質問紙により簡易的に実態把握を行うことに加え,客観的評価を行う手法の開発も必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は質問紙の作成を行うことが大きな課題であったが,その課題を達成することができたためおおむね順調である。しかしながら,作成した質問紙が実際に聞き障害のある児童を検出することができるかの予備調査は行うことができていない。今年度の本調査を行う前に,予備調査を行い,質問紙を修正する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
作成した質問紙が実際に聞き障害のある児童を検出することができるかの予備調査は行うことができていないため,今年度の本調査を行う前に,予備調査を行い,質問紙を修正する。修正した質問紙を調査協力校に配布・回収,結果の分析を行い,協力校に報告を行うところまでを今年度行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に実験機材の購入費として計上していた額が,減額になったことによりその機材を購入するのが難しい見込みになったため,今年度の旅費として使用する予定だった分を次年度にすることで,その機材を購入したいと考えているため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験機材(オージオメーター)を購入する。
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