研究実績の概要 |
平成28年度(最終年度)は,平成27年度に開発した算数分野の基礎的学業スキルを測定するためのアセスメントツール(Curriculum-based measurement (CBM) )を用いたデータを分析することと,さらなるデータ収集を行い,リスク児のスクリーニングのための基準得点の産出を目的として研究を進めた。 平成28年度はまず,平成27年度に収集したデータの分析を行った。算数CBMの妥当性を示すために,毎月1回データを収集し,その発達的変化を検討した(小学2年生と5年生)。結果,およそ線形に得点が増加することが示された。また,算数CBMと教研式標準学力検査(算数)の関連を検討したところ,有意な関連が確認された。さらに,事前の算数CBMから後の学力検査において低得点を示す児童を識別できる可能性が示された。以上より,開発した算数CBMの妥当性が示された。 次に,新たなデータ収集も実施した。A市の公立小学校9校の1年生と2年生(約1,800名),C市の公立小学校1年生から6年生,D市の公立小学校1年生から6年生を対象として算数CBMと教研式標準学力検査(算数)のデータを収集した。A市の学校のデータについては,上記のデータ分析の結果が再現されるかどうかを分析予定である。B市とD市のデータは,各学期に1回ずつ収集されており,それらの発達的変化を確認し,基準得点を算出していく予定である。 分析結果は,日本教育心理学会や日本特殊教育学会などで発表し,随時論文投稿していく。
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