本研究は,視覚性ワーキングメモリの容量が小さい児童は,それを補うために眼球運動の頻度を増やして視覚情報の入力を補完する等の代替方略を採用するかを視線追跡装置により検討することを目的とした。対象は小学6年生32名とした。視覚性ワーキングメモリはn-back課題(n=2)の連続正答数により評価した。また,代替方略は視覚刺激比較課題の見比べ回数及び数群エリア内の停留時間数により評価した。 その結果,ワーキングメモリの容量と代替方略との間に明確な関連性は認められなかった。むしろ,視覚性のワーキングメモリの容量が高い群ほど,見比べ回数が多く,停留時間が長い傾向にあることが示された。
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