研究課題/領域番号 |
26780521
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮内 久絵 筑波大学, 人間系, 助教 (40530986)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視覚障害 / インテグレーション / 支援体制 |
研究実績の概要 |
イギリスにおける通常学校で学ぶ視覚障害児のための支援システムが如何にして構築されたのかについて文献研究を主たる方法とし、明らかにした。 結果、イギリスでは弱視児のインテグレーションが1970年代から、また盲児のそれは1980年代半ばから見られ始めたことが明らかとなった。特にもっとも困難とされた盲児のインテグレーションを支えた要因は次の3つであった。第一に1981年教育法成立によってもたらされた、親、地方当局関係者及び教員の意識の変化である。第二に弱視児を対象として整備されたユニット形支援や巡回指導型支援が、人的資源の確保を通して、より手厚い支援を必要とする盲児にも対応できる体制を整えていったことである。そして第三に慈善組織や大学が共同で視覚障害児の支援体制構築のための手引書を発行し、専門家を全国的に配置したことである。視覚障害児のインテグレーションの普及は、これらが同時多発的に、また相互補完的に働いた結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本において視覚障害教育の専門性に立脚した支援モデルを提案するための研究であり、そのため充実した支援システムを有するイギリスを対象としている。初年度におこなった実態調査に続き、今年度は文献研究に基づき、その支援システムが構築された背景について明らかにすることを目的としていた。研究実績の概要に記載したとおり、支援システムが構築された背景についてはある程度明らかにすることができ、この成果については「障害科学研究」(査読付き)2016年、3月発行にて発表した。このことから研究の進捗状況は計画通りに進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度明らかとなった結果は、資料的制約からあくまでイギリスの全国的概要にとどまっている。インテグレーションが普及した要因の一つである1981年教育法の制定は、地域間の教育の実態に格差を生んだことでも知られている。このことから、今後は地域や学校を選定し、一次資料や当時の様子を知る人物にインタビュー調査などを実施し、さらに分析を進める必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度イギリスに出向き資料収集を予定していたが、通院せざるを得ない状況が続いたことから海外調査が困難となった。すでに収集した資料から分析を進めることにより本年度の研究課題は遂行可能と判断した。次年度の5月にイギリスを訪問する予定で現在計画を進めている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度イギリスでの実地調査を予定している
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