学齢期初期の読み書き発達のプロセスとその認知的および非認知的規定因,ならびにそれに対する正書法の一貫性の影響を明らかにするため,日本語話者の児童を対象とした縦断的検討と,英語話者およびギリシア語話者の児童との間での国際比較を行った。それらの結果,(1)かなと漢字では読み書きの発達に重要となる認知的要因が異なること,(2)保護者は児童の読み書きの習得状況に応じて家庭での関与の程度を調整していること,(3)日本語話者の児童においては漢字の読み書き能力と動機づけの間の関係は必ずしも明確でなく,むしろ読み書き能力によらず自己評価が低下する傾向にあることが明らかとなった。
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