研究課題/領域番号 |
26790012
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齊藤 健二 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60397669)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Oriented Aggregation / 結晶間構造一致 / ナノワイヤー / 半導体 / ナノ材料 / 光触媒 |
研究実績の概要 |
当該年度では、超高結晶性の二元系酸化物半導体合成の鍵となる、結晶間構造一致(Oriented Aggregation機構)を選択的に引き起こすための条件検討を行った。具体的には、Ag2Mo2O7における先行研究のように、出発原料の溶解度を利用する手法だけでなく、均一溶液からOriented Aggregation機構を選択的に引き起こすことを主眼とした。その結果、次世代のスーパーキャパシタとして注目されているNiMoO4の水和物の中でも、報告例の少ないNiMoO4・0.75H2Oのナノワイヤー構造体を結晶間構造一致により合成し、本物質がAg2Mo2O7と同様、極めて高い結晶性を有していることを高分解能電子顕微鏡像より明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ag2Mo2O7は核形成速度が著しく早いため、MoO3を用いてモリブデンイオンの反応系中への溶出速度を下げることで均一なサイズの一次粒子形成を促進し、Oriented Aggregationを引き起こすことができた。一方、NiMoO4・nH2Oは通常、水熱条件(> 150℃)下、高温・高圧で合成されるため、核形成速度はAg2Mo2O7に比べて遅いと判断した。汎用的に用いられている、水への溶解度の高い(NH4)6Mo7O24とNi(NO3)2を用い、100℃以下、常圧で合成することで、Oriented Aggregation機構により結晶成長が起こり、良質な結晶性のNiMoO4・0.75H2Oナノワイヤーを合成することに成功した。核形成速度を制御し、一次粒子のサイズ分布を小さくすることがOriented Aggregation機構による超高結晶性の二元系酸化物合成に重要であることが明らかとなり、均一溶液中においても結晶間構造一致を選択的に引き起こすための具体的な方針についての目処が付いた。
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今後の研究の推進方策 |
ナノサイズのMnMoO4に関する合成例は少ないため、(1)硝酸マンガンと酸化モリブデンを用いた懸濁系、および(2)硝酸マンガンとモリブデン酸アンモニウムを用いた均一溶液をそれぞれ還流し、Oriented Aggregation機構を経由した超高結晶性のMnMoO4ナノワイヤーを合成する。得られたナノワイヤーを用い、光触媒反応を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品の納品は3月に行われたが、支払が4月(次年度)に行われたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該経費の執行は完了しているため、次年度に請求した助成金を研究計画にしたがって執行する。
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