高品位なナノサイズの無機結晶を得るための指針として、Oriented Aggregation機構(OA機構)を「汎用的に」単一駆動させるための条件を調査した。先行研究では、核形成速度の速いモノクリニック相のAg2Mo2O7をOA機構で結晶化させるには、出発原料の溶解度を制御することが重要であることを明らかにした。本研究では、次世代のスーパーキャパシタとして注目されているNiMoO4の水和物の中でも、報告例の少ないNiMoO4-0.75H2Oの核形成速度が著しく遅いことに着目し、OA機構による結晶化を検討した。その結果、合成温度を低下させるとOA機構により結晶化が起こることがわかった。つまり、OA機構を単一駆動させるには、目的物の成長速度の見極めと、それに伴う速度論的制御が重要であるとの結論に至った。得られたNiMoO4-0.75H2OはAg2Mo2O7と同様、極めて高い結晶性を有しており、従来のNiMoO4の水和物よりも高いキャパシタ特性を示した。
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