研究課題/領域番号 |
26790020
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐々木 拓生 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 任期付研究員 (90586190)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | III-V族半導体 / 分子線エピタキシー / X線回折 / ナノワイヤ / コアシェル |
研究実績の概要 |
コアシェル型III-V族ナノワイヤは次世代量子デバイス構造として注目される一方で、コア/シェル界面での欠陥生成をいかに抑制出来るかが大きな課題となっている。したがって、ナノワイヤの結晶構造、格子定数、組成分布を同時に評価できる新たなその場測定の開発が求められている。本年度は放射光施設SPring-8、ビームライン11XUに設置の結晶成長その場X線回折装置(MBE/XRDシステム)を利用し、ナノワイヤ成長中のその場X線逆格子マッピング法を確立した。実験では、ガリウムヒ素基板上にコアに相当するインジウムガリウムヒ素(InGaAs)ナノワイヤを成長しながら、非対称逆格子ロッドの回折ピークをその場測定した。高エネルギーX線と2次元X線検出器を利用することで、ジンクブレンド構造、ウルツ鉱構造、双晶含有ジンクブレンド構造それぞれの格子定数および組成分布の変化を同時測定した。ウルツ鉱構造の回折ピーク位置からナノワイヤのインジウム組成は一定ではなく、成長時間と共に指数関数的に増加することが明らかになった。また双晶含有ジンクブレンド構造の回折ピークからナノワイヤと共に成長する二次元膜のインジウム組成がナノワイヤよりも高いことが明らかになった。このことから、均一な組成分布を有するInGaAsコアを得るためには、インジウムとガリウムの供給比の制御が極めて重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、コアシェル界面のひずみ解析を実施する上で基盤となるその場測定技術を確立した。また、コアとなるInGaAsナノワイヤの成長技術も確立したため、残りはシェルとなるGaAsを成長しながらひずみ解析を実施するだけである。次年度(平成27年度)には当初計画通りのコアシェル界面のひずみ解析が達成される可能性が高い。さらに、当初計画では次年度(平成27年度)実施予定のコア/シェル界面評価用の蛍光測定システムを前倒して整備しており、結晶性評価は既に実施している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を変更する必要はなく、おおむね順調に研究は進展しているため2年間の研究実施期間で当初の目標を達成する可能性が高い。これまでに、ナノワイヤの格子ひずみ解析用その場測定技術の確立とコアとなるInGaAsナノワイヤの成長技術を確立した。したがって今後はシェルとなるGaAs成長中の格子ひずみ解析を実施し、コアシェル構造特有の臨界膜厚を実験的に明らかにする。さらに、蛍光測定によりコア/シェル界面の結晶性を評価し、デバイス応用を視野に入れた界面制御技術の確立に繋げる予定である。
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