研究課題
ガレクチン3が各種AGEのうちカルボキシエチルリジン-AGEと強い相互作用を有する事を明らかにしたが、さらに様々なAGEとの相互作用解析を行った結果、ガレクチン3はグリセロアルデヒド-AGEに対し強い相互作用を示す事が明らかとなった。また、ガレクチン3はカルボキシエチルリジン-AGEやメチルグリオキサール-AGEとは相互作用を示さない事から、ガレクチン3はAGEの糖領域とタンパク質領域の両方のある特定の構造を特異的に認識している事が明らかとなった。ガレクチン3がAGEのどの領域を選択的に認識しているかについては、グリセロアルデヒド-AGEの糖化領域であるグリセロアルデヒドと、メチルグリオキサール-AGEの糖化領域であるメチルグリオキサールはどちらも炭素数が3であるものの、ケト基や水酸基の数などの構造が異なることから、ガレクチン3はこの構造の違いを厳密に認識している事が考えられた。ガレクチン群とAGEの分子認識を解析した結果、AGE群はガレクチン1やガレクチン4に全く認識されなかった。また、メチルグリオキサール-AGEはガレクチン8にのみ認識されたため、ガレクチン8は他のガレクチン群とは異なるAGE排除機構に関与している事が考えられた。ガレクチン3が認識するカルボキシエチルリジン-AGE に対し、ガレクチン9はガレクチン3よりもさらに強い結合で認識する事が明らかとなった。この事から、ガレクチン3とガレクチン9はガレクチンネットワークを構築する事で競合的にAGE排除機構を制御している事が示唆された。最終年度ではこれらのガレクチン群を用いたAGEバイオセンシングにおける前処理法の確立にも成功したため、本研究において各AGE群と関連性の高い疾患の診断におけるガレクチンネットワークを介した応用展開の基盤が形成された。
すべて 2015
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