1分子蛍光イメージングはタンパク質を直接観察することで、タンパク質の局在、相互作用が直感的かつ定量的な知見を我々に与えてくれる。しかしながら、計測可能な細胞、タンパク質の種類には限りがある。本研究では、真核細胞の細胞内に存在するタンパク質を1分子レベルでの系を開発する。 平成26-27年度では、真核細胞のモデル生物である出芽酵母、培養細胞を用いてタンパク質1分子レベルで発現量を計測する系を構築した。平成26年度では局在化した蛍光タンパク質を用いてた系を構築した。一方で平成27年度では光偏向型蛍光タンパク質を用いてそれぞれ細胞内の1分子レベルでの観察を行った。平成28年度では、当初の計画では1分子蛍光観察のパプレケーションとして出芽酵母のプロテオーム解析の構築を予定していた。しかしながら、遺伝子組換えの効率が著しく悪く(50%程度)であり、またC末 タグ融合のライブラリの株の増殖速度が異なり管理運用上現行の研究体制では実施困難と判断した。計画の変更し、特定の遺伝子に絞り、1分子蛍光観察のパプレケーションとして出芽酵母内での遺伝子の転写産物であるmRNAとタンパク質の同時計測にする系の構築を行った。mRNAの可視化にはPCP赤色蛍光タンパク質を用いて行った。mRNAの発現量をトレースするために、PCP赤色蛍光タンパク質にタンパク質分解タグを用いることにより発現量の調整を行った。分解タグを用いることにより、タグがないものより鮮明に1分子を観察することができた。顕微鏡下で12時間程度観察し、タンパク質の発現とmRNAの発現を同時に観測が出来た。しかしながら、分解タグの入ったPCP赤色蛍光タンパク質とmRNAを共発現させた場合にmRNAの分解に支障をきたし、学術論文での報告には至っていない。
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