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2014 年度 実施状況報告書

高分子ナノファイバーを用いた3次元光集積回路の要素技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26790031
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

石井 佑弥  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30633440)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードナノファイバ / 導波路 / 高分子 / エレクトロスピニング / 電界紡糸 / ポリビニルカルバゾール / ポリ乳酸 / ポリメチルメタクリレート
研究実績の概要

本研究課題は,高分子ナノファイバーを基盤材料として用いた3次元光集積回路の要素技術の開発を目的としている.初年度の平成26年度は,高分子ナノファイバー光導波路中での光伝播損失の主要原因の解明を行った.また,導波路一体型の高分子ナノファイバー電界発光源の開発に向けて,キャリア輸送性を示す高分子材料から成るナノファイバーの作製と光導波性の評価を行った.
まず高分子ナノファイバー光導波路中での光伝播損失の主要原因を調査した.エレクトロスピニング法を用いてポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成るナノファイバーを作製し,光伝播損失を評価した.得られた損失は,大口径のPMMA系光ファイバーの伝播損失と比して,3桁以上高い値であった.この原因を伝播損失の波長依存性から解析したところ,ファイバー形状の不均一性とPMMA密度の不均一性から生じることが示唆された.実際にPMMAナノファイバーを機械的に延伸し,表面形状をより不均一にし伝播損失を評価したところ,伝播損失の悪化が確認された.また,材料をPMMAから同様に光透過性の高いポリ乳酸のラセミ体に変更し,伝播損失を評価したところPMMAナノファイバーと同程度の伝播損失が得られた.このことから,伝播損失の要因が材料によるものではなくナノファイバーの作製条件に由来することが示唆された.
次に,ホール輸送性を示すポリビニルカルバゾール(PVCz)を材料として用いナノファイバーの作製を試みた.試料溶液の濃度を変化させることにより,最小で平均直径約300 nmのPVCzナノファイバーの作製に成功した.加えて同ファイバー中の光導波性を顕微評価系を構築し評価したところ,光が導波することが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は,おおむね順調に進展している.平成26年度は研究開始初年度であったが,高分子ナノファイバー光導波路中での光伝播損失の主要原因の解明に成功し,低損失化へ向けた基礎を築いている.さらに,ホール輸送性を示すポリビニルカルバゾールを材料としてナノファイバーの作製に成功しており,導波路一体型の高分子ナノファイバー電界発光源の開発に向けて着実に進展している.特筆すべき研究業績として,積極的に学会発表(国際会議5件、国内会議2件)を行ったことが挙げられる.

今後の研究の推進方策

平成27年度は以下に示す(1)および(2)を遂行する。
(1) 高分子ナノファイバー光導波路中での光伝播損失の低減に向けた検討:平成26年度までに高分子ナノファイバー光導波路中での光伝播損失の要因がファイバー形状の不均一性とPMMA密度の不均一性から生じることを明らかにしている.従ってこれらを系統的に低減し,伝播損失の低減を進める.
(2) ポリビニルカルバゾールナノファイバーを用いた導波路一体型電界発光素子の開発:平成26年度までにホール輸送性を示すポリビニルカルバゾールから成るナノファイバーの作製に成功し,同ファイバー中で光が導波することを明らかにしている.従って,平成27年度は同ファイバーを用いた電界発光素子を設計および作製し,電界発光することを示す.さらに電界発光した光が同ファイバー中を導波することを示す.加えて,作製した発光素子の電流電圧特性,電流発光強度特性,導波特性(導波方向におけるスペクトル変化)等を評価する.必要に応じて,ファイバーの直径方向への発光素子も作製し,発光スペクトル等を比較,議論する.

次年度使用額が生じた理由

申請額に対する交付額の大幅な減額が生じたため,支出内訳の調整が必要になったため.

次年度使用額の使用計画

申請時の計画に原則そって,消耗品費,国内旅費,外国旅費,その他に使用する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (7件) 備考 (2件)

  • [学会発表] ポリビニルカルバゾールナノファイバーの作製と光導波2015

    • 著者名/発表者名
      里園翔太,石井佑弥,上ノ瀬亮平,福田光男
    • 学会等名
      第62回応 用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      東海大学湘南キャンパス,平塚市, 神奈川県
    • 年月日
      2015-03-11 – 2015-03-14
  • [学会発表] Electric Actuating and Optical Waveguiding Poly(DL-lactic acid) Nanofibers2014

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ishii, Taiki Nobeshima, Sei Uemura, Heisuke Sakai, Mitsuo Fukuda
    • 学会等名
      2015 IEEE International Conference on Electron Devices and Solid-State Circuits (EDSSC)
    • 発表場所
      Nanyang Executive Center (NEC), 50 Nanyang Avenue, Singapore
    • 年月日
      2014-12-14 – 2014-12-16
  • [学会発表] Dye-doped Polymer Nanofiber Waveguide2014

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ishii, Ryohei Kaminose, Shota Satozono, Mitsuo Fukuda
    • 学会等名
      International Conference of Global Network for Innovative Technology (IGNITE-2014)
    • 発表場所
      TUT-USM Technology Collaboration Centre, Penang, Malaysia
    • 年月日
      2014-12-14 – 2014-12-16
  • [学会発表] Evaluation of Optical Propagation Loss in Electrospun Nanofibers after Mechanical Drawing2014

    • 著者名/発表者名
      Ryohei Kaminose, Yuya Ishii, Shota Satozono, Mitsuo Fukuda
    • 学会等名
      The 10th SPSJ International Polymer Conference (IPC 2014)
    • 発表場所
      EPOCHAL TSUKUBA, Tsukuba, Ibaraki,Japan
    • 年月日
      2014-12-02 – 2014-12-05
  • [学会発表] 高分子ナノファイバー中における光伝搬損失2014

    • 著者名/発表者名
      上ノ瀬亮平, 石井佑弥, 里園翔太, 福田光男
    • 学会等名
      2014年電子情報通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      徳島大学 常三島キャンパス
    • 年月日
      2014-09-23 – 2014-09-25
  • [学会発表] Investigation of optical propagation loss in electrospun polymer nanofibers2014

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ishii, Shota Satozono, Ryohei Kaminose, Mitsuo Fukuda
    • 学会等名
      SPIE Organic Photonics + Electronics 2014
    • 発表場所
      San Diego Convention Center, San Diego, California United States
    • 年月日
      2014-08-17 – 2014-08-21
  • [学会発表] Electrospun polymer nanofiber waveguide doped with an ionic transition metal complex2014

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ishii, Ryohei Kaminose, Shota Satozono, Keisho Omori, Mitsuo Fukuda
    • 学会等名
      E-MRS spring meeting 2014
    • 発表場所
      Congress Center - Lille, France
    • 年月日
      2014-05-27 – 2014-05-29
  • [備考] 豊橋技術科学大学教員紹介webページ

    • URL

      http://www.tut.ac.jp/university/faculty/ee/716.html

  • [備考] 豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系フォトニクス研究室webページ

    • URL

      http://www.photon.ee.tut.ac.jp/index.html

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公開日: 2016-06-01  

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