MOVPE法による結晶成長では原料間の化学反応を利用するため、ある程度の高温が必要である。これは熱耐性が弱いInN材料の高品質化の障壁になる。そこで、十分な活性窒素を供給可能と予想されるジメチルヒドラジンを従来の原料であるアンモニアと併用した。条件の最適化を行ったが、InドロップレットなしのInN薄膜は実現しなかった。寄生反応を抑制するために、III族やN原料のパルス供給も実施した。成長した膜には、電子濃度が10^19 cm-3以上であり、移動度が数百cm2/V.s程度であったため、従来のMOVPE法によるInN結晶と比べ改善が見られなかった。完全に非水素雰囲気での結晶成長が必要と結論付けた。
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