物質に強度の強いレーザー光が照射されると融解する。近年まで、レーザー光の照射で物質が融解するのは、レーザー光の吸収により物質が熱くなる影響であると考えられてきた。ところが、半導体の場合には熱的な影響と考えられるよりも早く融解することがあるとの報告が出てきた。この理由は、光により物質の電子が励起されて物質の原子の結合が弱くなり溶融が促進されると考えられている。この仮説が正しければ、光照射後に、原子の電荷の空間分布が時々刻々と変化していることを意味する。本研究は、これを代表的金属である金の溶融過程を実験的に100フェムト秒オーダーで観察し、理論面からこの仮説が金属にも適用できることを見つけた。
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