アモルファス酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ(TFT)は,適切な温度で適切な時間,空気中で熱処理を行うことで優れた特性を示すことが知られている.一方で,TFT特性に及ぼす熱処理効果の理解は不十分であった.本研究では,アニール時間依存の薄膜抵抗測定により,熱処理下では,短時間領域で支配的な過剰酸素の脱離と,長時間で生ずる酸化の2つのステージがあることを見出すとともに,過剰酸素は加熱しなくとも真空保管にて容易に脱離することを明らかにした.これらの知見から,低酸素分圧条件下でも膜内にしっかりと酸素結合を形成できるIn-Si-O(SiO2: 10 wt.%)が,TFT材料として優れると結論づけた.
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