研究課題/領域番号 |
26790055
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小西 邦昭 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60543072)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | テラヘルツ / 導波路 / 近接場 / 3Dプリンター |
研究実績の概要 |
本年度は、金属ワイヤーを伝播し、その尖頭部に集光されるテラヘルツ波を検出するための実験系の構築を進めた。これまでに行っていたテラヘルツアンテナを走査する方法に比べて、より簡便かつ高精度に局所的なテラヘルツ電場を検出可能な方法として、反射型EO検出法を導入した。この方法は、テラヘルツアンテナを用いた検出方法では困難であった、縦電場の検出および電場振幅の大きさの測定が可能であるという大きな利点がある。これによって、金属ワイヤー先端部に集光されることによって生じる電場増強の大きさと、それによって生じる偏光状態を直接観測することが可能になり、本研究を進める上で非常に協力なツールとなる。本手法を用いた自由空間を伝播するテラヘルツ波の検出には成功しており、金属ワイヤーを伝播したテラヘルツ波の電場分布の検出を早急に開始する。 また、本研究の重要なテーマの一つである、3Dプリンタを用いた金属ワイヤーの作製を実現するために、3Dプリンターの高性能化を進めた。3Dプリンターの小型汎用化を進めると共に、作製可能な分解能の向上を進め、市販の3Dプリンター装置を上回る、数10ミクロンオーダーの構造の作製に成功した。さらに、3Dプリンターで作製したアクリル構造の周囲に、銅や金などの金属をメッキする技術も確立した。今後は、この3Dプリンターを用いてワイヤープローブ構造を作製してそれに金属メッキを施すことによってテラヘルツ伝播の観測実験を行うと共に、Y字分岐構造などのより複雑な構造の作製にも着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画を変更し、テラヘルツ電場の検出方法として非常に大きなメリットのある反射型EO検出系の導入を行った。これによって必要な要素技術は全て整ったため、来年度においてより高い精度での電場検出が可能になる。
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今後の研究の推進方策 |
テラヘルツ波を検出するための反射型EO検出系の構築は完了したため、即急に金属ワイヤーの先端部に集光されるテラヘルツ横電場、縦電場のイメージングを開始する。これによって、ワイヤー先端部に集光されるテラヘルツ波の電場分布と偏光分布のイメージング計測を行い、電場増強度を明らかにする。同時に、3Dプリンターで作製した金属ワイヤーおよびY字型分岐金属ワイヤーの作製と伝播計測を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定を変更し、本年度は新しい測定形の構築を行ったたために、実験用の3Dプリンター試料作製費用および学会発表費用等の支出の必要性が翌年度に持ち越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験用の3Dプリンター試料作製費用、学会発表等の費用、その他光学実験に必要な消耗品の記入に使用する。
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