異なる井戸幅を持つGaAs/AlGaAs多重量子井戸において偏光・時間分解PL測定及びポンププローブ測定を極低温で行った.直線偏光でスピン偏極を励起・観測方向に垂直な方向に形成した.スピン偏極度の振動がファラデー配置の1Tの磁場で観測された.この振動はスピン重ねあわせ状態の歳差運動に起因すると考えられ,直線偏光のPL成分の物理的起源が直線偏光によって形成されたスピン偏極であることが分かった.井戸幅の増加により,この偏極の緩和時間は減少した.価電子帯のバンド混合効果がスピン緩和時間に影響していると考えられる.これらの測定結果から直線偏光により正孔スピンの重ね合わせが形成できることが解明された.
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