本年度の研究ではHeストリッパーと真空紫外分光器を繋ぐ差動排気系の増強・コンパクト化のための、新手法として、ガスジェットカーテン法の開発と最適化を進め、手法を確立させた。また、得られた実験データの解析と発表準備を進めた。 新しい手法を用いることで、漏れやすく排気の難しいHeガスをカーテン状の窒素ガスジェットで封じると共に、漏れにくく、排気の容易な窒素ガスへと短距離でのガス置換を行うことが可能となる。オフラインでの差動排気系テストベンチシステムが構築され、計算機を用いた流体計算と併せて最適化を進めた。これまでに行われた最適化でこのガスジェットカーテン法を用いて、Heガスの封止能力を10倍に上げる事に成功している。 ガスジェットカーテン法を実際に、Heストリッパーの動作圧力である7kPaから、真空紫外光検出器の動作可能な真空領域(~10-4 Pa)の接続において適用する事で、差動排気系の大幅なコンパクト化、大口径化を実現することができている。これにより真空紫外光検出器(Csコーティングチャネルトロン)をビーム領域により近付けることが可能となり、シグナル検出効率を30倍程度改善することが可能となる。 昨年度までに得られた、Heガスストリッパーにウランビームを通過させて得られた真空紫外光の測定結果、及び相補的に電子放電による真空紫外光の測定の測定を行っておりその解析を進めている。 結果の一部は2018年度に行われる国際会議IPAC18で発表する予定である。
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