研究課題/領域番号 |
26790077
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
亀島 敬 公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL利用研究推進室, 研究員 (50558046)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | X線 / シンチレーター / イメージング / 分解能 / XFEL / 放射光 / CT / 検出器 |
研究実績の概要 |
平成26年度はセラミックスの固相拡散接合を利用した薄膜シンチレーターを製作した。また、シンチレーターからの2次元信号を結像する光学系を設計構築した。 Ce:YAG透明セラミックシンチレーターとNon-doped YAG透明セラミック基板を固相拡散接合で接着剤などの異物を使用せず分子レベルで接合し、その後、化学機械研磨を行う、という薄膜シンチレーターの製作手法を提案・実施した。本手法で製作される薄膜シンチレーター基板の特徴は、シンチレーターと基板が同一の材質であるため、その接合界面の屈折率構造がほぼ一様となり、反射・散乱・収差を光学的に抑制できることにある。この製法で、最薄 4 μm厚のCe:YAGシンチレーターの製作に成功した。また、製作した薄膜シンチレーター基板の両面に反射防止膜を施し、周辺雰囲気との界面における反射も抑制している。これにより、シンチレーター上で生じる空間分解能悪化の要因を全て排除し、空間分解能・MTFの大きな向上が期待できる。 従来の薄膜シンチレーターの問題点として、その薄さが原因でシンチレーターを透過するX線の量が多いため、放射線損傷の観点からレンズを信号の発光点近傍に設置できない。これは光学系の開口数が制限されることを意味し、結果として空間分解能が落ちるだけでなく、センサーに到達する信号量も小さくなる。前述の製作した薄膜シンチレーター基板のシンチレーター部は薄いが、これを支える基板の厚みは自由に設計できる。今回の製作では基板をmmスケールと厚みを持たせることで、基板内でX線を遮蔽した。これにより、高い開口数のレンズを使用し、高分解能・高感度な結像光学系を実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度で、当初の予定である薄膜シンチレーターの開発および結像光学系の設計・構築に加え、平成27年度に予定していた検出器の構築まで達成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に残件である、小型密封線源に検出器の評価およびXFELを利用したX線信号のシングルショット高空間分解能計測を平成27年度で実施する。 小型密封線源を使用する環境は整備済みなので速やかに実施できる。 XFELを利用したX線信号のシングルショット高空間分解能計測はビームラインの調整枠の一部時間を使用し、実施する。難しい場合はSPring-8でビームタイム申請を行い、そこで空間分解能の計測のみを評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で必要とする高開口数光学系の設計に変更が生じた。同時に、この光学系の後段に使用する高感度カメラの仕様も変更となり、購入予定であった科学計測用CMOSカメラは平成27年度予算と合わせて購入する必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に計上していた旅費予算を科学計測用CMOSカメラの購入用の予算に割り当てる。 平成27年度の早々に科学計測用CMOSカメラを購入する。
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